2005年8月2日
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「団塊世代よ、帰りなん、いざ故郷へ!」出版の波紋
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「レヴィンの系譜」(2巻)の出版(5月2日発行)と相前後して、4月、5月の2か月間に小社から出版された本は計5冊。 書名を挙げてみると「おばあちゃんの昔語り―大和の自然と人との出会い」(大笹悦子著 4月5日発行)、「丹沢の沢を歩く―美しい谷への誘い」(橋栄著 5月15日発行)、そして「団塊世代よ、帰りなん、いざ故郷へ!―セカンドライフの一つの選択肢」(野口稔著)の発行が5月21日であった。 同時並行してそれぞれの本の編集、デザイン、校正を行い、マスコミ各社へのニュースリリースの配布と出来上がった本の発送、さらに各社への対応、地方・小出版流通センターへの一括発送、直扱いの書店への配本などの一連の作業を、小生と連れ合いの2人で行うのである。年に何回もあるわけではないが猫の手も借りたいほどの忙しさ、零細出版社の一齣である。 「団塊世代よ、…」は、発行日にあわせて横浜桜木町駅近くの「驛(うまや)の食卓」で出版記念会が開かれた。著者の野口稔さんの友人など70名ほどが駆けつけた。遠くは九州・長崎からインターネットビジネスを展開している平野恵子さん、野口さんの故郷千葉県東庄町からは実家の皆さん、先の「レヴィンの系譜」の著者のお母さんである高木初江さんも参加。そのほか地元北鎌倉の自然保護運動の仲間たち、元鎌倉市長の竹内さん、マスコミ関係者など多彩で、野口さんの日頃の交友の広さが伺えた。 30分ほど遅れて会場に着いた私は聞けなかったが、野口さんは挨拶の中で、自分の本はそっちのけで「レヴィンの系譜」の出版の意義を話していたという。こもごも参加者と野口さんのエピソードなどのトークで盛り上がったが、版元の小生にもマイクが回ってきた。「これだけ多彩な皆さんが集まって頂けたのは野口さんの人間力。付き合いは短いが同じ生き方の匂いを感じて連帯を組んでいる。農的暮らしと地域の再生、情報発信とネットワークづくりがこの本のテーマ。この本が売れて多勢の人に読まれ、団塊世代がそれぞれの故郷に居場所ができることで日本が良くなる。この本を広めてください。夢工房も助かる」と話した。 愉快なトークと美味しい料理の後で、盧佳世(の かよ)さんのコンサートがあった。懐かしいフォークソングの後に、「レヴィンの系譜」の中の2つの詩を盧さん自身が作曲し、歌った。その一つ「かたち」。 「あなたが悲しむのなら 僕は雨になろう あなたの涙を隠す 優しいヴェールになろう あなたが迷うのなら 僕は月になろう 闇を歩くあなたの足元を そっと照らしてやろう ……」 隣の席で聴き入っていた高木さんがハンカチを目にやった。盧さんが作曲して歌ったこの詩は、期せずして「レヴィンの系譜」第1巻の書名とした「僕は君の月に…」と重なった。作者・高木昌宣さんの想いとアーチストの感性、編集者のそれが巧まずして表現されたことに参加者は驚いた。 盧さんはその後、何回かのコンサートでこの曲を歌い、レコーディングまでやった。来年の5月2日には高木さんの故郷・東庄町でコンサートをと、野口さんは盧さんと高木さんに働きかけ、地元ではその準備も始まった。高木さんは、また新しい目標ができたことを喜んだ。 一方、野口さんの「団塊世代よ、……」は、東京新聞、神奈川新聞、埼玉新聞、信濃毎日新聞、リタイヤメント・ビジネスジャーナルなどに取り上げられた。「2007年以降問題」が様々なかたちで社会に及ぼす影響、定年後の団塊世代が地域社会でどのような居場所を探すことができるか、野口さんへの講演依頼が寄せられた。地元鎌倉のケーブルテレビ、鎌倉市、立川市などでの講演を、忙しい仕事の合間を縫って対応するという。 7月13日には、神奈川県生涯学習情報センターが県内の社会教育主事を対象にしたセミナー「地域社会へまず一歩」で、野口さんは「北鎌倉湧水ネットワーク」代表として自身の地域活動を報告。小生もNPO法人自然塾丹沢ドン会の活動を紹介する羽目になった。 同じ団塊世代としてそれぞれの地域でどのように自己表現し、情報発信するか相互に刺激的な関係でありたい。セミナー、ワークショップの後で酒を酌み交わしながら話した。
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