自分のあゆみや越し方をかえりみて「自分史」を書く。自分の研究や創作を1冊にまとめる。企業や団体が社史や記念誌をつくる。それらは、特定の読み手を想定して、限られた人たちに個人や団体の思いを伝えるために1冊の本をつくるのです。
自費出版の原点は、自ら原稿を書き、自ら費用を負担し、思いのこもった1冊の本という別の世界、分身をつくり出し、自らの存在確認をすることにあると、思います。
はじめ、思いは一人の心と体に宿っているばかりです。本づくりを通して、思いが言葉になり、言葉が文章をつづり、さまざまな資料や写真がその裏づけをしてくれます。
1冊の本ができる。この本の前には何もなかったのに、この本の中には思いがこもっている。お金をかけてでも、この本を作ってよかった。この本が新聞や、雑誌に紹介される。思いもかけない反響に、なにより本人が驚く。
この醍醐味を感じた人の中には、本づくりが病み付きとなる人もいます。2冊、3冊と自費出版の世界に深く足を踏み入れてしまうのです。本づくりの楽しみ、自費出版の醍醐味であります。