2005年8月31日
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笹村さんを巡るネットワーク
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笹村さん自身は循環型農業を目指す自然養鶏を小田原で実践している方で、「発酵利用の自然養鶏」(農文協発行)という著書もある。休耕田や遊休農地をどうやって再生させるか。丹沢ドン会とは違ったやり方で地域にしっかりと足をつけた農に取り組む姿と方法論は刺激的で、日本の農業再生の一つのヒントが秘められていると感じた。
その笹村さんから1週間ほど前に突然電話が来た。8月28日の日曜日に「最小限の家作り」の第2回の会合がある。新規就農者の一番の悩みである住みかを手当てしないと日本の農業は変えられない。手づくりで廉価、身近な材を使うというコンセプト、具体的な設計、地域や現行法規との関わりや様々な課題、仲間と共同の家作り、住んでみての体験やメッセージなどを本にして情報発信したい。編集的な発想を加えてこの事業を進めたいというのである。この道30年の編集の血が騒いだ。一も二もなく参加することにした。
当日の打ち合わせ場所は、小田原の「NPO・NGOの家」で、この会場の主宰者は山田純さん。山田さんとは自然保護団体「丹沢ブナ党」の会合でたびたび顔を合わせる旧知の間柄で、森林問題に造詣が深い研究者である。そこに居合わせたのが家具作家の安藤和夫さん。安藤さんは、7月中旬に横浜で開かれた丹沢ブナ党のシンポジウムでパネラーを小生と一緒に勤めた方である。この日は見えなかったが、農の会のメンバーの一人、作曲家の青英権さんとは、たしか岡山でご一緒したことがある。先の戦争で満州から生きて帰れなかった孤児がテーマの「ともちゃんのおへそ」(絵本 夢工房発行)の音楽劇の作曲をしていただいた方である。その上演会でお会いしたというご縁もあった。
初めての方々との出会い。集まってきたメンバーは10人余り。半数以上が20代、30代の男女である。健康的に日焼けしている農業者やアーティストである。一人物静かに席に控えていた方が東京大学東洋文化研究所の池本幸生さんである。一日の労働の後にこうして集まり、議論を重ねる。笹村さんはその道筋をしっかりと方向付けしている。7時過ぎから三々五々集まり、ようやく「最小限の家作り」の具体的なイメージが見えてきた。この続きは次回にと散会したのは11時半ばであった。
丹沢山麓と足柄平野で二つの水紋が重なり合い、新たな地域の文様が浮かび上がってくる予感がした雨交じりの夜であった。 |