2007年3月6日
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『夜の会 会報「よる」再刊!
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「夜の会」という不思議な集まりがある。2か月に1回、小田原・箱根の周辺のさまざまな職業人の話を聞く定例のフォーラムである。参加費500円(缶ビール1本)で、40分ほどそれぞれの仕事の極意やノウハウ、専門分野・研究テーマを話し、質疑応答が続く。1時間半ほどの例会のあとは、決まって会場近くの縄暖簾をくぐって、スピーカーを囲んでさらに交流・懇談が続く。肩肘張らない、会員相互の学び合いの場である。
箱根湯本の正眼寺・起雲閣と小田原城内の旭丘高校の会議室で交互に開く。2007年2月25日の小田原の例会で78回を数えた。ほぼ休みなく開催しているから13年は経つ。私もその世話人の一人である。
世話人は、年6回の例会のスピーカーの人選・出演依頼、季節のイベントの企画立案、当日の運営の準備・実施をする。取り立てて面倒なことはないが、事前・事後の打ち合わせなどで8人の世話人が顔を合わせる機会は結構、頻繁である。その寄り合いも楽しい。ご他聞にもれず、「夜の会」も、参加者の高年齢化と、若い世代の参加が極端に少ない。間もなく60を数えようとしている団塊世代の最後の私などが、夜の会では若手である。
世話人の年代構成は、70代2人、60代4人、50代2人である。64名の会員の平均年齢は調べたことはないが、おそらく60半ばであろう。会員の居心地の良さは、逆に新規会員の自由な参加を阻害しているのだろうか。出入り自由な「夜の会」の存在と活動を広くさまざまな方法で市民に知ってもらう必要があるのかもしれない。
このほど5年余り休刊していた会報「よる」を再刊した。A5判、縦2段組み8ページに「会報復刊にあたって」、例会再録として、神奈川県立歴史博物館学芸員の鳥居和郎さんの「異なる視点から見た小田原合戦―作られるイメージ・変えられる史実―」(2005年6月24日)と、前神奈川県立足柄上病院院長の堀口一弘さんの「医療事故防止について―公立病院の立場から―」(2000年5月27日)、会の中心的役割を長年担ってきた元小田原市立図書館長の川添猛さんの「会報再刊・とりあえず思いつくことども」を掲載した。
会の運営にしても、参加会員の若返りにしても、世代交代をスムーズに行うためには、若手と言われている人たちが、そろそろ中心的に担っていかなければと思う。今回の会報再刊を機に、「夜の会」が、小田原・箱根の自然・歴史・文化・まちづくりの創造・継承の一端を担っている多くの市民の自由・闊達な議論の舞台として機能していくためにも、更なる工夫を凝らす必要があるのだろう。
巻頭に作家の小田淳さんが寄稿した一文「私たちの周辺は、歴史と文化に恵まれた環境にありながら、継続的に文化を基調とした具体的な定着があまり見られないと思う。そうした現況の中で、定例的に専門分野のプロの話を聞いて歓談し、講話内容などを会報として発刊することは地域唯一の文化的意義を有する存在であると思う」を肝に銘じたい。
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