2007年12月01日
情報誌『アクセス』と「書肆アクセス」
丹沢自然保護協会機関誌『丹沢だより』

◆情報誌『アクセス』と「書肆アクセス」

 地方・小出版流通センター(川上賢一代表)の情報誌 『アクセス』(2007年9月1日、第368号)に「詩集『レヴィンの系譜』発刊の波紋・若き詩人のことばの力、優しい想いを伝えたい!」と題した一文を書かせていただきました。

 夢工房を立ち上げてまもなく、新宿南町の川上さんを訪ねました。近くの喫茶店で、「地方・小出版流通センター」加入の相談をしたことが思い出されます。以来20年近いお付き合いです。川上さんは、単に本の流通にとどまらない、人と本と情報の交差点の淀みない流れをつくるプロデューサーとして不可欠な存在感を示している人です。

 「アクセス」と言えば、神田神保町の「書肆アクセス」は、11月17日をもって閉店となりました。地方・小出版流通センターの創立は1976年ですが、読者販売と書店現金卸販売の「展示センター」がその始まりです。以来、「本の街・神田村」で全国の地方・小出版社の本が手に入るユニークな書店として愛されてきました。しかし、「神田村」の機能が変化を余儀なくされた現在、持続することが困難になったと言います。

 読書週間にあわせた今年の「神保町ブックフェア・本の得々市」(10月27・28日)で首都圏出版人懇談会は、最後の「書肆アクセス」の前で出店をしました。惜しまれつつ閉店した「書肆アクセス」の一部を引き継ぐように、神保町の神田三省堂書店4階に地方出版の売り場ができました。「本の街・神田村」の心意気を見る思いがします。


◇丹沢自然保護協会機関誌『丹沢だより』

 NPO法人丹沢自然保護協会は、市民と行政の協働による丹沢の自然再生のためにトップランナーとして自然保護活動に取り組んでいます。理事長の中村道也さんについては、神奈川新聞4月29日の「団塊探偵団」のコーナーで「自然再生に知恵」と題して紹介させていただきました。その機関誌『丹沢だより』(2007年11月20日、第446号)の「理事随想/ざっくばらん」に「命の水に浮かぶ盆地」と題したエッセイを書きました。

 『丹沢だより』の編集は20数年の永きにわたり大沢洋一郎さんが担当してこられました。定期刊行物の編集がいかに大変であるかは、編集者の日々の仕事をしていて骨身にしみています。大沢さんは、鎌倉の栄光学園の社会科教師の勤めとともに、丹沢・札掛の「栄光ヒュッテ」の管理を丹沢の天狗さんと愛称されるハンス・シュトルテさんから託され、これまで続けてこられました。しかも『丹沢だより』の編集も天狗さんに誘われてのことだったそうです。

 その天狗さんが、8月31日に永眠されました。ご冥福をお祈りいたします。『丹沢夜話』の著者であり、丹沢の自然保護運動のさきがけのお一人であったハンス・シュトルテさんを初めて拝見したのは1993年に神奈川新聞が開催した「丹沢フォーラム」でした。その後、札掛の丹沢ホームで2回ほどお会いしただけでしたが、人と人とのつながり、ご縁の不思議を感じます。大沢さんには、「ほんとうに長い間お疲れ様でした」と感謝あるのみです。

 『丹沢だより』の編集は、2008年1月号からは奥津昌哉さんにバトンタッチされます。変わらぬものと変えるもの、新しい編集に期待し、応援したいものです。