2008年04月28日
どっこい「新聞」の底力

 東京新聞特別報道部の記者Nさんに私がはじめてお会いしたのは、横浜で開催された丹沢の自然保護のシンポジウムの会場で、15年ほど前のことでした。以来、ことあるごとに連絡を取り合い、本業の出版や市民活動のさまざまな場面で取材を受けてきました。

4月19日に鎌倉建長寺で開催された『ガイドブックに載らない北鎌倉の神々』の出版記念会にもわざわざお出かけいただきました。この日曜日は翌日が新聞休刊日ということで、第1部のコンサート、第2部の交流会まで参加していただきました。また、交流会の間をぬってNさんは、建長寺宗務総長の高井正俊さん、北鎌倉おとな探偵団のみなさん、ヴァイオリン奏者の寺沢希美さん、団塊の歌姫こと盧佳世さんや参加者に精力的な取材を行っていました。その成果の一部が、さっそく4月23日「東京新聞」の記事として掲載されました。おそらく、この記事に書き切れなかったことも多々あるのだと思います。

Nさんのネタ探しの嗅覚と記事の切り口は独特です。「さすがNさん」と北鎌倉湧水ネットワーク代表の野口稔さんとも電話で話しました。Nさんには次のようなお礼のメールを送りました。

 「こだわりの地域本が、「新聞」を通して地域に広がり、地域のまちづくりに貢献し、一種の社会現象になりつつある経過は、非常に興味深いものがあります。発売3週間で2400冊が夢工房から出庫しています。まれに見る早い動きです。

 これまでに神奈川県内版の朝日、毎日、神奈川の各紙で大きく取り上げていただきました。さらに「東京・中日新聞」と「共同通信」の配信で全国に広がる様は、本をめぐる新聞の情報発信力の底力を感じさせてくれます。

Nさんのお書きいただいた記事は、活字文化と本づくりの今後に一石を投じていただいたものと感謝します。ありがとうございました」

 もっとも、素材そのものに内容がなければ、いかに切り口が鋭くても単なる本の紹介記事になります。「わが街を愛する地域の人びとが、地域の宝物を見つけ出し、地域づくりに生かす」という本づくりのコンセプトに共感し、その社会的意味を明らかにすることによって、出版の新しい一つの世界を発信するというNさんの切り口が生まれたのだと思います。

 本づくりの種は地域にあり、新聞の記事のネタもまた地域にあるということをNさんの取材を通して改めて実感しました。