2008年07月20日
満足できる自費出版―読者に届く本づくり」のパネリストに

 第7回日本自費出版フェスティバルの公開座談会が7月19日午後、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で行われました。この催しは、NPO法人日本自費出版ネットワークと自費出版編集者フォーラムの初の共同企画です。私は編集者フォーラムの前身「あむの会」以来の会員です。

 「本を作りたい、2冊目はもっと満足できる本にしたい……。自費出版への思いはさまざまです。日頃から自費出版の制作をしている人たちに、多種多様な自費出版の最前線をお聞きし、どうしたら後悔しない本づくりができるのかを語ってもらいます。読者の心に届く本づくりとは、どのようなものでしょうか」という惹句にひかれて私はパネリストを引き受けました。

 パネリストは、私(夢工房)以外に岩根順子さん(サンライズ出版)、喜田りえ子さん(ひかり工房)、小島みさきさん(リーブ企画)の女性3人でした。司会は神門武弘さん(自費出版編集者フォーラム代表)が担当ました。

 事前の顔合わせは1回ありましたが、岩根さん、喜田さんに加えて私も「当日は、ぶっつけ本番で自由に発言しましょう」ということで、何の準備もしないまま参加しました。もちろん、日頃取り組んでいる本づくりのさまざまな課題についての考え方やノウハウが、それぞれのパネラーにあるわけですからそれを司会者がうまく引き出してくれればいいわけです。

 まず大切なことは、「何をテーマに、誰に読んでもらいたいのか」ということです。無闇にただ本をつくればいいというものではありません。資料を集め、原稿を書き、推敲をし、信頼のおける編集者のいる制作会社にどうしたら出逢えるか。何でも東京の大手自費出版社がいいのではありません。それには、それぞれの地域で文化発信の拠点のひとつであった地域一番店の書店員に相談するのも手です。その上で、どのような本をつくりたいかという書き手の想いを聞きながら、著者と編集者が、できることとできないことの共通理解を得るためのコミュニケーションをしっかりとることによって良い作品は生み出されます、と話しました。

 ある人から「映像は流れるが、文字は心にしみこんで消えません。出版はそれを支えるダムです」と、夢工房20年へのメッセージを寄せていただいたことを紹介しました。無から有を生みだす本づくり。創造の喜びを味わいながら一生にそう度々はない体験をじっくり楽しみましょう、と参加者に語りかけました。

 短い時間で意は尽くせませんでしたが、会場のうなずくしぐさに励まされたひと時でした。